死後事務委任と他の契約の組み合わせ

 死後事務委任契約は、実際には単体で契約することはありません。

 

1⃣見守り契約

2⃣財産管理委任契約

3⃣任意後見契約(公正証書で)

4⃣死後事務委任契約(公正証書で)

5⃣遺言

6⃣遺言執行

以上の6つの契約を死後事務委任契約と一緒に締結することで、安心で満足な老後を実現することが出来るはずです。

 

1⃣頭がしっかりしていて、体も元気な状態のとき

 頭もしっかりしているし、体も元気という状況の時から、将来任意後見人となる予定の人が、月1回程度本人の様子を窺うために訪問したりし、孤独死のリスクを防ぎ、死後事務委任契約を実効性のあるものにするためにする。

 

2⃣頭はしっかりしているけど、体が不自由になり、自分で銀行に行けなくなった場合

 財産管理委任契約書を持って、受任者が銀行などへ行き、本人の代わりにお金を引き出したりする。

 

3⃣認知症等で判断能力が低下してきた場合

 任意後見人監督人選任の申し立て手続きを家庭裁判所にする。

 ↓

 任意後見人を監督する人が選ばれる。

 ↓

 監督人のチェックの下で、財産管理を行う。

 ※なぜ監督人がつくのか。

 ご本人の判断能力が低下しているため、自分で監視できないから。

 任意後見契約が開始すると、見守り・身元引受契約は終了します(当該契約の事務は任意後見契約に引き継がれる)。

 

4⃣亡くなった場合

 任意後見人としての業務は本人の死亡により終了。

 生前に結んでいた死後事務委任契約に基づき、葬儀の手配、納骨、病院への費用の支払い、施設の退去手続きなどをする。

 

5⃣本人の希望を文書に

 相続人がいない場合であっても、財産をどうするかを聞いておく。

 

6⃣本人が残した遺言内容を実現する

 本人が亡くなった後は、本当に遺言通り財産がいているのかわかりません。遺言執行者を遺言書に書いておいて、きっちりその通りになるようにする。

 

 あなたが将来的に「死後事務委任」をやろうと考えていても、今まで述べた認知症や脳血管疾患、又は事故でそれが出来なくなる可能性があります。

 終活は「やろう」と考えた時に行うのが正解です。

 死後事務委任契約は、あなたが亡くなってから効力を発揮する契約ですので、あなたが生きているうちは訂正を繰り返すことが出来るのです。

 完璧な契約をしようと思わないで、まずは足を踏み出しましょう。

 

死後事務委任契約は公正証書で

 公正証書は、公証人がその文書が偽造されたものでないこと、脅しや脅迫などなく、当事者の意思に基づいて作られたものであることを公に証明してくれるというメリットがあり、社会的信頼の高い書類です。

 特に死後事務委任契約書は、当事者が亡くなった後に効力を発揮する書類ですので、公正証書をお勧めいたします。

 

受任者が先に死亡するリスク

 言うまでのありませんが、死後事務委任契約が依頼者の希望通り履行されるには、依頼者死亡時に受任者が生存している必要があります。

 しかし、「絶対に先に亡くなることはありません」と約束をすることはできません。

 死後事務委任契約は、受任者が死亡した時点で契約そのものが失効してしまいます。

 受任者が先に死亡するリスクは絶対に消すことが出来ませんし、その対策がなされていない場合、依頼者が契約をためらうでしょう。

 死後事務委任契約における受任者の死亡リスク対策は、法人による受任か複数の受任者による共同受任ということになると思います。

 私たちは個人で契約をするのでなく、法人と契約を結ぶようにします。それが「成年後見なし坊安心サポート」や「想いコーポレーション」です。