死後事務委任契約の例

1⃣40代女性 おひとりさま

 離婚して一人暮らしを始めることになった

 子どもはいない

 両親や兄はいるが、過去にいざこざがあり15年近く交流がない。

 決して危険度の高い手術ではないようだが、もしものことに備えたい。

 まずは、身元保証契約をして手術にそなえ、そのあと死後事務委任契約をして、自分の死後事務を委任し、死後の財産についてお世話になった〇〇に私の財産を・・・。

 

契約内容

 見守り

 身元保証契約

 財産管理契約

 死後事務委任契約

 遺言執行者を選任した遺言又は民事信託

 

2⃣息子が遠方にいるケース

 ①父から

 父は一人で暮らしている

 息子から一緒に住もうと言われているが、自分で建てた自宅を離れることはできない。

 息子は仕事の都合もあって、見守り等もできず、緊急時にすぐに駆け付けられない。

 父は、自分が亡くなった後、事務処理をするために、息子がたびたびこの家に来れないだろうと思っている。

 自分の死で、息子に迷惑をかけたくないと思い、身元保証契約と死後事務委任契約をした、最後に自分の財産を・・・。

 

 ②息子から

 父は一人で暮らしている。

 息子の方から一緒に住もうといっているが、自分で建てた自宅を離れることはできないと、断られた。

 息子は仕事の都合があって、見守り等もできず、緊急時にすぐに駆け付けられない。

 息子は、父が亡くなった後、事務処理をするために、たびたびこの家に来ることは難しいと思っている。

 できれば、入院とか入所の時にも身元保証契約等が出来ればと思っている。

 

 

契約内容契約

 見守り

 身元保証契約

 死後事務委任契約

 遺言又は家族信託

 

3⃣子どもがいない夫婦のケース

 子供がいない夫婦が、将来を心配して相談に来られました。ともに兄弟がおり、双方に甥姪がいますが、親族はみんな遠方にいます。

 どちらか一方が亡くなったときに動けばといわれましたが、その時に残された一方が認知症等になっていたら契約を締結することが出来ません。

 また、今のうちに、双方で任意後見契約を結べばともいわれましたが、残された一方が認知症になっていたら後見人にはなれません。

 老老介護や認認介護がこれにあたります。

 お子さんがいない夫婦の場合、どちらか一方は最終的に「おひとりさま」になります。

 そうなる前に死後事務委任契約を結びました。

 

契約内容

 家族信託

 見守り

 死後事務委任契約

 

※老老介護 65歳以上の高齢者を同じく65歳以上の高齢者が介護している状態のことで、「高齢の妻が高齢の夫を介護する」「65歳以上の子供がさらに高齢の親を介護する」などのケースがあります。

2013(平成25)年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査では、在宅介護している世帯の半数以上に当たる51.2パーセントが老老介護の状態にあるという結果が出ました。

 

※認認介護 老老介護の中でも、認知症の要介護者を認知症の介護者が介護していることを認認介護といいます。事故が起きやすい危険な介護状況の一つです。

2010(平成22)年に山口県で行われた調査と推計では、県内で在宅介護を行っている世帯の10.4パーセントが認認介護状態にあるとされました。
 
元々認知症は要介護状態を招く原因の上位に入っているため、高齢の要介護者には認知症の人が多いという現状があります。そうした事情を考えてみると、老老介護がやがて認認介護状態になるのはそう珍しくないことがわかるでしょう。
山口県の数字も「推計」である通り、老老介護の中には、「自分に認知症の症状がある」という自覚が無いまま介護を続けている人もいると考えられ、その割合や実態はつかみにくいものです。

 

4⃣自分が亡くなった後はペットと一緒に樹木葬にしてほしい

 猫ちゃんや犬(ワン)ちゃんの存在が与えた影響が計り知れない人もいるでしょう。

 世間一般ではモノ扱いですが、自分の心の支えとなったペットはもはや家族といっても過言ではありません。

 そういったペットと一緒に眠れるのなら、とペットと一緒に樹木葬等にしてほしいと言われる方が出てきています。私は理解できます。毎晩一緒にベッドに入っているのですから。

 こうした方と死後事務委任契約を結びました。

 

契約内容

 死後事務委任契約

 

 しかし、この場合、ご家族の理解が大切です。例え公正証書で契約を結んでも、家族が反対すれば実現の可能性はありません。家族の理解があるのであれば、死後事務委任契約を結ばなくても実現するでしょうが、公正証書で死後事務契約を結ぶことで、家族の理解を得ることが目的でした。

 

5⃣がんを患い不安な方のケース

 癌を患い、何度となく入退院を繰り返している50代の女性。

 娘が2人おり、長女はその女性の不動産業を手伝っています。

 二女は学生で、お母さんと一緒にマンションで生活しています。

 もし、女性に何かあった時、娘に迷惑がかからないようにしたいとのことで、相談がありました。

 この場合、財産の分け方と自分の死後事務についてが心配とのこと。

 死後事務委任に関してはどういう契約をするかの詳細を決め、財産に関しては、遺言ではなく家族信託を提案。不動産業を行っているので、その事業の円滑な承継には遺言では対応しきれないと判断。家族信託でなら入院中であっても、長女が事業を継続できると判断。

 

契約内容

 死後事務委任契約

 家族信託契約

 

死後事務委任について不安のある方は、相続と終活の相談室 オフィスなかいえ へ